脱皮の瞬間。

くうまの学校は、テストがないので、通知表もない。

その代わり、親と担任と学長の面談があって、その学期に何をして、くうまはどんな反応をしたか、発見をしたか、成長をしたかを事細かに教えてくれる。
担任は生活面での担任で、各教科はそれぞれ違う先生が教えてくれる。
それぞれが書き綴った、教科ごとのくうまの様子の紙ももらえ、良い面をとても褒めてくれた上で、今後の課題も提示されているのが、親にとってとても嬉しい。

「くうま君、自分の気持ちをとても素直に言えるし書けているのがとてもいいと思う」
それととともに言われたのが、
「最近、怒り方が変わってきたんです」と。

くうまがひとたび怒り出す時、「烈火のごとく」という言葉がぴったりで。
日本人の子供だったら、誰もがびびってしまう(つまり、スペイン人の子は驚かない)、涙と大声でその怒りを表現するような怒りかただったのです。
滅多にはないけれど、例えば自分がやっていないのに、疑いをかけられるような瞬間。
自分が優しさのつもりでやろうとしたことを、理解されずに悪く言われたりした瞬間。

「ぐっと抑えて、僕はそこが嫌だと伝えられるようになってきたんです」とのこと。

最近で一番大きな大きな変化かもしれないと思いました。



先日、サンタさんに手紙を書いたくうま。
この一年で、人を助けてあげたり、助けてもらったり、良いことをしたりされたりしたことを、思い出して書いてごらんよ。と自己申告を勧めた時のことです。
悩んで悩んで(←前しか見ないで生きてる人)、一個だけ、助けられたと思い出した出来事。

くうまのクラスは、一時期「う*ち、ち*ちん、おしっこ、おしり」などの下品な言葉が男の子の間で大流行し、女の子達が怒り狂ったので、禁止になりました。
その時のこと。
ある子が、こっそりくうまに「おしっこがどーのこーの」という替え歌を言った瞬間。
他の男の子が、「あー!くーまがおしっこって言った!」と言い出したのだとか。
言ってないよって言ったのに、その子が言った言ったって言い続けた時にね。

「その時、Jちゃんがくーまは言ってないって助けてくれたの」

家でくうまに聞いたときは。
・・・あーたね、それが唯一思い出す友達に助けられたことなんかい(とほほ)
もーいーや、一生懸命頑張ったこと書いたらいいがな。
と、呆れたんですが。


面談の時に、担任がそのことを詳しく話してくれたのでした。

他の子も担任も、見てないから、どっちが本当のことを言ってるのか判断できない。
でも、くうまにとっては、先生ともう絶対言わないと誓ったから言ってないのに、信じてくれないなんて、どーしてどーしてって感情爆発だったらしい。
きっかけはしょーもないことですが、彼にとっては「冤罪」の悲しさだったのでしょうね。

もー、涙がんがん流して、がんがん怒鳴り怒ってるのに、「だって言ったもん」のひと言に阻まれて信じてもらえない。

と思っていた時。

Jちゃんがすっくと立ち上がって「くーまは言ってない。私はそばで見てたもん」
と言ってくれたので、疑いが一瞬で晴れたのでした。
涙をぽろぽろ流しながら、「Jちゃん、どうもありがとう~」とくうまが礼を言ったのだとか。

すごいドラマチックだったらしい。



このblogでも、スペインで起こった色んな事件を書き綴ってきましたが、月食をただ一人見たくうまが、嘘つきとクラスで村八になったり、滑り落ちた女の子の上にたまたまいた為に、くうまが押したということにされ(私は見てたので事実は明らかでしたが)、全員から攻撃されたり。
一人だけ、アジアを知ってたり、ヨットで旅してたり、一人天体や宇宙のことに興味を持って親に色んなことを聞いている、子供には信じられない世界を知ってるくうまが言うことは、理解が難しく、それなのに、口下手なせいでよけい信憑性に欠けてしまって、誰も僕の言うことを信じてくれないと言うのが口癖だったくうま。

いいんだよ。くうまがそれを知っているだけですごいことだから、誰も信じてくれなくても気にすんな。だってそれは本当のことなんだから。が私たちの口癖で。


日本に来たら来たで、スペインで育ったくうまの感覚と、日本の子供達との微妙な違いで、やっぱり一人になることもあったのです。
たとえば、「バナナと言えば?」「黄色」「黄色と言えば?」「お月様」なんていう遊びをしていた時、「イチゴと言えば?」との質問に、くうまは「つぶつぶ」と答えたのだとか。
イチゴはつぶつぶしてないよ!とみんなに言われ、「種がつぶつぶしてるもん」と言ったくうまに、「つぶつぶしてない!くうまが我がままだから一緒に遊ばない」とその場にいた全員に総すかんくったことがあったそうで。
「ママ、イチゴってつぶつぶしてるよね?」と聞かれたので、ああ、種がしてるねって答えたら、そうだよね?やっぱりそうだよね?とホッとしたようにその事情を話してくれた。

何でそんなバカげたことになるのか、私には想像できないことだけど、強いて思うなら、スペインのイチゴは酸っぱくて種に主張があるのに対して、日本のイチゴは甘くて果肉がふっくらしてる、その差がこういう話になったんだろうか・・・などと思った。



何を言いたいかと言うと。


くうまは、生まれて初めて、友達に「くうまは嘘ついてない」って、救ってもらったようで。


どうやら初めて、友達に安心したのかもしれない。


担任と、そんな話をしたのです。
やっと、威嚇するような怒り方をしなくても、いいんだって、わかったのかもねと。


くうまに関して言うと、やっぱり日本に帰ってきてよかったなと思いました。
2歳の時からスペインの学校に行くようになって、概ね楽しそうだったけど、くうまの心に出来てきた小さなささくれに、気がついた。
本当は、そんなささくれを一杯作って、子供は大人になっていくのかもと思ったけれど。
ささくれだったはずが、やさぐれることもあるかと、息を潜めて見守ってたのです。
だからなんだか、私もうれしくなった(涙)



11月中旬から、くうまはJrヨットのクラブに新しく入りました。
チームスポーツはそんなわけで、まるで向いてないくうまですが。
個人スポーツの孤独さには、8歳離れした精神力を発揮してます。
最近、にわかスポーツ選手の親体験をしてます(うれしいもんですね~ 笑)

やり始めて4回目で出場した、ブロンズクラス(つまり初心者の集まり)のレースですが、なかなかいい活躍をして2位に食い込んだことが、また初めての体験だったくうま。
スポーツと名の付くものすべてで、勝った事がなかった子なんで(汗)
ものすごい自信になったようです。



そして12月から、学校から一人で帰ってきはじめたのです。
朝はもうずっと前から一人で行っていたのですが。
夕方、暮れなずむ中を一人で電車に乗って帰るのが、寂しくて踏ん切れなかったのに。
「僕、もう一人で大丈夫」と、ある日自分で言いました。


ほんの一ヵ月半のできごと。
メリメリと古い皮を破って、一回り大きくなったくうまを見てるようです。
生まれた時からいつも思うことですが。
徐々にできる子じゃなく、時間がかかってかかってかかっても成長してるように見えず、いきなり目に見える変化がある。
この瞬間を見るとき、な~んだ、待っていれば大丈夫だったのねって思うのでした。
気長に待てなくて、心配しはじめちゃうんですけどね(笑)



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by africajp | 2008-12-20 02:00 | くーまの頭の中

スペインから引っ越してきました。


by africajp