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順番についての認識。

ある日、クラスのおんな子が私にこう言った。
「くうまは順番を守らないのっ!」

それで、くうまになんで守らないか聞いてみたら。
「僕、ちゃんと守ってるよ?」

どちらが本当なのだろうと思って、しばらく注意してみました。
体操教室でのくうまを見てると、ちゃんと並んで順番を待っているしなぁ。
と。
しばらくして、ちょっと不思議な喧嘩が始まったのです。
二列に並んで交互に自分の順番になったら鉄棒するのですが、やり終えて列に戻ったくうまは、自分の場所に行かないで隣に並んだのです。
当然、その場所に後から戻ってきた子は、自分の場所を奪われてるので、くうまをどかそうと押し合いへしあい。
最初見たときは、くうまがふざけてやってるのかと、私も思ったし、場所を奪われた子も思ったらしくて、笑いながら場所を奪い合ってました。

が。
次の回もその次の回も同じ押し問答になって、とうとう二人とも先生に注意されてました。
というか、後から自分の場所を取り戻そうとした子の方が、ふざけて見えたのか、先生に注意されてて、その子はちょっとムッとしてました。

授業に忙しくて見ていなかった先生以外、誰から見てもくうまが悪いのは明白です。
だけど、どうしてそんな意味のない「バカげた行動」をするのか、私にはわからず、ただ情けなくてがっくりでした。

体操教室が終わってから、順番は守らなきゃダメだよって、きつく注意しました。
そうしたら、なんと答えたと思いますか?
「え?僕、ちゃんと順番守ってたよ?」

それで、不思議に思って、さっき見た状況を説明したら。
「え?最初に並んだ順番に、また並ばなきゃいけないの?」と聞き返されてしまいました。

「僕、スペインの学校でもそんなことしなかったし、みんなもしてなかったよ」

それで、よくよく聞いてみると、あることが始まった時に、一番最初に並んだ、その順番がその時間を通して有効だという暗黙のルールを、知らなかったのです。
私には当然のことでしたが、これってたぶん世界共通ルールではないかも。
そんなにみんな、自分の並んだ場所を記憶して、次の繰り返しにまた自分の順番にきちんと並ぼうとする平和な国民は確かにいない。スペインなんてまったくない。

じゃあ、スペインの学校ではどうしていたかというと。

並んだらもちろん順番が来るのを待つ(これすら出来ない子も大勢ですが)。
自分の番が終わったら、やったことが好きな子は走って戻るし、それが嫌だった子はゆっくり戻るわけです。
で、また新しくできた列の順番で進行するわけです。
結果、例えば授業でB君は跳び箱を10回飛び、C君は2回しか飛ばないことになる。
先生はそれについて何も言いません。
生徒の自己責任の範疇です。
で、これだけ自由な分のつけはあって、小学校であっても二年ごとに成績が芳しくない子は、容赦なく落第になります。
自分で判断して頑張る世界ということでしょうかね。
今年の9月に三年生になった、くうまのかつての同級生40名のうち、6人がもう一度二年生をすることになりました。

日本は、みんなが順番を意識して、いやいやなC君は自分の番が来たらやるし、他の子はC君をきちんと待つんですよね。C君の後ろの子なんて、ちゃんと戻ってこれるように空間をあけておいたりして(苦笑)
そしてみんな平等に飛ぶんですよね。
日本ではよほどのことがない限り、小学校で落第はないですよね?
そのかわり、子供たちに緊張感や好き嫌い良い悪いの主張の激しさはないと思う。

どちらがいいかは、私にはわかりません。
好きなのはスペイン方式ですが、主張が強い子が得をする、主張しない子性格の穏かな子は置いていかれる不平等な世界は疲れることもあります。


話はくうまに戻りますが。
そういう訳で、くうまは順番を守っているつもりで、周囲には「くうまは順番を守らない」とムカつかれることになってしまったことが判明。
私も、この差には今まで気がつきませんでした。気がついてちょっと感動したくらい。
日本のルールを説明したので、今週の体操教室は平和でした(笑)
学校でも少しは衝突が減るかな?

一つ一つ覚えていくしかないですね。
郷に入れば郷に従えですから。


とはいえ、先日はこんな悩みをくうまから打ち明けられました。

「僕はかけっこで一番になったのがうれしくって、やったー!って言っただけなのに、『自慢すんな!』て女の子に怒られたの。自慢するってどういう意味?嬉しくて喜ぶことも自慢なの?」

なんて馬鹿げた話しかと、これもびっくり。
嬉しいことを素直に喜ぶこと、大声で喜びを表現することは、スペイン人のとてもいいところだと私は思う。くうまが素直に喜べるのはスペインで育った証と思う。
たとえ日本に生きようとも、こんな素晴らしい性格は変えて欲しくない。
例えば相手が遅かったことを意地悪く言うのとは違うし、誰かと比較して自分の速さを感じるのとは違って、一番になったことはちゃんと自分自身に喜んであげるべきなのである。
誰がムカつこうが、嫌味を言おうが、そんなことで他人に気をつかうのはおかしい。

そう言ったら、ほっとしていた。
本人もおかしいと思ったらしいけれど、多勢に無勢だと不安になるらしい。
これもまた、日本に生きるということですね。

やっぱり日本とスペインはかなり違う国なんだと、くうまを見てて思う今日この頃です。
二つの国の良い所取りを願うばかりなのですが。
ただ一つ思うことは、日本人は他人が違うことに、なんでこんなにうるさいのだろう。
迷惑かけなければ、同じじゃなくっていいんだってばっ!(叫)



by africajp | 2008-10-14 00:54 | くーまの頭の中

スペインから引っ越してきました。


by africajp